mitsu2019

映画に関する感想などで御座います。

ドン・キホーテ

着想から30年の月日を経て完成した映画「ドン・キホーテを殺した男」を観た。

 

邦題は「テリー・ギリアムドン・キホーテ」だったか? どちらでも構わない。兎に角、白昼夢な男ギリアム爺の執念に乾杯。スパロー役でブレイク前のジョニー・デップを主役に撮影が開始されたものの、アクシデント連発の撮影と製作費の関係や役者の体調不良などで頓挫。その後もアクシデント続きで、配役も都度契約しては破棄の繰り返し。その模様を描いたドキュメント映画「ラマンチャの男」が制作され観ましたけど、これで気が済んだと思いきや、スペインとモロッコ辺りにこれだ、と言う撮影地に出逢ったギリアム氏は再度挑戦を決意し、遂に完成させたのでした。

 

 

 

 

若手気鋭のCM監督トビーはスランプで撮影が進まない。偶然自分が学生時代に撮った「ドン・キホーテを殺した男」のDVDに出逢う。懐かしさから当時の撮影現場を訪ねると、ドン・キホーテ役に抜擢した靴職人は、自分がドン・キホーテだと思い込んだ認知症老人となっており、ヒロイン役だった村の少女は女優を目指しマドリードへ行ってしまった事を知る。その老人に弟子のサンチョだと勘違いされ、一緒に旅に出る羽目に。旅の途中でヒロインの少女にも再会して惹かれるが、彼女は囚われの身だった・・

 

 

 

 

主演に、人気実力共に急成長株のアダム・ドライバードン・キホーテ役に、ジョナサン・プライス。この人最近グレンクロースと共演してまして上手いんです。恐らく、恐らくですけどギリアムなりに妥協した作品だったと思います。それは予算的に。大人になったのか死ぬ前に完成させたかったのか80歳だもんね。しかしながら、面白い作品でした。アダムドライバーの魅力満開だし、ジョナサンは上手いし、テンポよくギリアムらしさもありつつ、笑いも幻想も織り交ぜて、観客を不思議な小旅行に誘います。小旅行で迷子になる様なあの感じ。中学生の時に日帰りで行ったノコギリ島で遭難したのを思い出したなあ。

 

 

ギリアム映画のテーマ「体制と個人」、大きなものに立ち向かう情熱を描く。まさにドン・キホーテメンタリティー。映画を観ているうちに、ドン・キホーテ役はギリアム監督自身が演じても、いいんじゃね、って思ってました。これで悔いは無いのかギリアム。いやいやもう次の構想があるのかもねギリアム。

 

 

もう!わしがドン・キホーテやるでーってね、風貌も変わらんし。

 

 

会社行くだけのつまんない日常から、ちょっとした冒険を味わえますよ、劇場で。