mitsu2019

映画に関する感想などで御座います。

斬 ざん

初めての印象は、ぱっと見、友達になれそうもない感じの人だった。

 

映画監督・俳優・脚本家の塚本晋也氏の最新作「斬 ざん」を鑑賞した。鉄に魅了された男塚本の鉄シリーズ今度は刀であった。日本刀は言わずもがな日本固有の武器である。侍が武器として使用し日本を統一し、統治した。昔、真剣を構えた事があるけど怖かった。これ確実に殺人出来る、斬れる、と。剣道の竹刀とは明らかに違う真剣にビビッた私はグアムで射撃をした時もビビった。確かな殺傷能力のある道具。いや殺傷する為に生み出されたモノ。しかしこれが人間の歴史を築いたのだ。

 

 

おっと話は逸れまして。さて話は幕末の世。侍だった主人公も生活困窮から農家に身を寄せている。密かにその侍に想いを寄せる村娘と剣術を教わる村娘の弟。ある日剣豪に江戸に出て世の安泰の為、京都と戦おうとリクルートされる主人公の青年侍。しかし出発直前に熱を出して倒れる。ヘタレなのである。

 

実は木刀なら凄腕でも真剣を持てない、人殺し経験なし、童貞で心優しき男なのである。無法者達が村に現れる。慄く村人。心優しきその主人公は話し合いで諫めるが、血気盛んな村娘の弟が無法者に絡まれ怪我をする。剣豪が刀で諫める→数人殺す。無法者が仲間を集め復讐に来て弟を殺す。

 

ここで、村娘の強烈な個性爆発。主人公の心優しき侍に仇討してこいと言う。因みにこの役を蒼井優が演じ、主人公を池松壮亮が演じている。「こいつは、弟が襲われていた時、のうのうと寝ていたんだ」って激怒してなじる。このくだり何処かで観たような・・、あ、映画「宮本から君へ」だ!

 

また話は逸れ。

 

剣豪に連れられて、渋々仇討に向かう主人公。数人のやさぐれ無法者相手に木の棒で戦う主人公。だが真剣には敵わず苦戦、ついてきた痛い村娘が襲われる。たまらず剣豪が無法者を一掃。「僕は斬れましぇーん!」と凹む青年侍。でも反面「斬れる様になりたいですううう!」と繰り返す。にやりと笑う剣豪。しかし翌日青年侍は逃避&逃亡。それを追う手負いの剣豪。そして二人は対決をする事になる・・・

 

西部劇でも拳銃裁きは上手いけど、人は撃った事のない若者ってのがあった。一人殺せば後は慣れるぜ、みたいな先輩の台詞、この作品でもあるんです。現代では映画「アメリカン・スナイパー」であったと記憶する。

 

池松演じる侍は、現代の若者がタイムスリップした様に感じた。賛否両論あれど、頭脳と喉元に粘着して残る作品です。塚本の鉄ちゃんは、観客に迎合して面白いものなんか狙ってないでしょうから、内に秘めたものを吐き出したという彼の作品群で、この作品もまた然り。「生と死と鉄」 鉄=武器、武器=道具、道具=人間

 

人間のみが道具を作り、扱い、上昇していく。